ドンチャンチャネルブレイクアウト:タートルズ戦略の原型をバックテストで確かめる
2026年4月
ドンチャンチャネルブレイクアウトは、Richard Donchian が開発し、後に「タートルズ実験」で採用されたことで有名になったトレンドフォロー戦略です。過去 N 日高値を上抜いたら買い、過去 M 日安値を割ったら手仕舞いという極めてシンプルな構造で、今なお多くの CTA(商品投資顧問)の基礎になっています。
古典的なルール
タートルズが使ったルールをシンプルにまとめると以下の通りです。
| 要素 | 設定例 |
|---|---|
| エントリー | 過去 20 日高値を上抜いた翌日寄り |
| エグジット | 過去 10 日安値を割った翌日寄り |
| リスク管理 | 1 トレードあたり資金の 1〜2% |
「高値を抜けたら買う」は直感に反しますが、これは トレンド発生の初動に乗る 思想です。高値を抜けたということは、それ以前の参加者の大半が含み益に転じ、売り圧力が相対的に弱まった状態を示唆します。
日本株で機能するか
伝統的にドンチャン系は商品先物で検証されてきましたが、日本の個別株でも機能余地があります。ただし以下の条件を満たす銘柄に偏ります。
- 値動きが大きい(小型グロース・テーマ株など)
- 出来高が薄すぎない
- 決算またぎのギャップがシグナルを壊さない程度
逆に、地味なレンジ推移の大型株ではブレイクアウトが頻繁に騙しに転じます。

この 10 年検証では 取引回数 32 / 勝率 37.50% / 平均利益 ¥878,038 vs 平均損失 ¥583,274 と、平均勝ち > 平均負け のトレンドフォロー典型的な形が出ています。それでも CAGR -1.19%・プロフィットファクター 0.90 で赤字、最大ドローダウン -44.88% と深め。理屈どおりの設計でも、対象銘柄群・期間がトレンド発生に乏しい局面に当たれば 10 年単位でも赤字は十分起こりうる、という事実がそのまま読み取れる結果です。ウォークフォワード や モンテカルロ で、この赤字が実力なのか偶然の局面なのかを別軸から検証するのが次の一手です。
バックテストで見るポイント
- 勝率は 30〜40% 前後でも問題ない。トレンドフォロー戦略の宿命で、移動平均クロス と同じく平均損益で稼ぐ設計
- 最大ドローダウン。連続負けが長引くとメンタル負荷が大きい
- 保有期間。長すぎると次のシグナルまで機会損失、短すぎるとトレンドを取り切れていないサイン
落とし穴
ドンチャン系は パラメータ感応度が比較的低い 戦略として知られますが、N=20 に固執する必要はありません。15〜55 の範囲でパラメータを動かし、結果が滑らかに変化するかを確かめてください。特定の N で突出した成績が出る場合は 過剰最適化 を疑います。
また、ブレイクアウト戦略は 生存者バイアス の影響を受けやすいです。上場廃止銘柄を含まないデータセットで検証すると実力より良く見えることがあるので、この記事 もあわせて参照してください。
QuanTest で試す
QuanTest の標準戦略「ブレイクアウト」は、ドンチャン型の高値更新・安値割れをベースにしたロジックです。N=20/10 から始めて、対象銘柄群のボラティリティに応じて期間を動かしていくのが出発点です。
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本記事は教育目的の解説であり、特定の戦略の収益性や将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。