ポジションサイジング入門:固定比率・ATRベース・ケリー基準の使い分け
2026年4月
戦略のロジックが同じでも、1トレードでいくら賭けるか(ポジションサイジング)が変わるだけで、最終リターンと最大ドローダウンは劇的に変わります。勝率やシャープレシオを追う前に、サイズの決め方を抑える意義は大きいです。
3つの代表的な方式
| 方式 | 基本式 | 性格 |
|---|---|---|
| 固定比率 | サイズ = 資金 × 一定比率 | シンプル、DD も比例 |
| ATR ベース | サイズ = リスク額 ÷ (ATR × 係数) | ボラ高い銘柄は自動で小さく |
| ケリー基準 | サイズ = 勝率 − (1−勝率)/損益比 | 理論最適だが過大になりやすい |
固定比率
「資金の 10% を常に投入」「全資金を均等に N 銘柄に分ける」など、最も直感的な方式です。バックテストの出発点として優秀ですが、ボラの違いを考慮しないため、値動きの大きい銘柄に偏ってリスクを取ることになります。
ATR ベース
ATR(Average True Range)でボラティリティを測り、1 トレードあたりの想定損失額 が一定になるようにサイズを決めます。たとえば「資金の 1% をリスクとして許容」なら、ATR が大きい銘柄ほど自動的にサイズが小さくなります。
ケリー基準
理論上リターンを最大化する配分比率を計算する方式です。期待値・勝率・損益比から導出しますが、過去データから推定した勝率と損益比を未来に当てはめるという危ういステップが入るため、実務では ハーフケリー(理論値の半分) まで落として使うのが一般的です。
バックテストで見る視点
- 最大ドローダウンの絶対額。固定比率で 50% DD なら、サイジングを見直す合図
- リターン/DD 比。サイジングを変えるとこの比率が改善するケースは多い
- 連敗時の残高。10 連敗しても再起可能かを必ず試算
落とし穴
ケリー基準は「勝率と損益比が既知で安定している」と仮定します。現実には過去データから推定するしかなく、推定誤差がある中で 満額ケリー を使うと資金曲線が激しく振れます。保守的なサイジングの方が、同じ戦略でも長期リターンが上がるケースは珍しくありません。
また、モンテカルロシミュレーション と組み合わせると、サイジング変更が最大DDに与える影響を統計的に評価できます。
QuanTest で試す
QuanTest ではポジションサイジングの方式を切り替えて、同じ戦略で結果がどう変わるかを比較できます。固定比率 → ATR ベースへ移行するだけでも DD が大きく変わるのを体感しやすいです。
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本記事は教育目的の解説であり、特定の戦略の収益性や将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。